ご報告 クラウドファンディングが寄附金控除の対象になるか国税局へ事前照会をしました

2024.07.22

ご報告 クラウドファンディングが寄附金控除の対象になるか国税局へ事前照会をしました

私たち認定NPO法人NPO会計税務専門家ネットワーク(以下「@PRO」)は、令和6年1月22日に、私たちが令和6年2月~4月にかけて取り組んだクラウドファンディングについて、支援者から受ける資金が、寄附金控除の対象になるかどうか、東京国税局に事前照会を行いました。

 

5か月以上にわたり、東京国税局の方から様々なご質問を受け、また、クラウドファンディング会社の方にも東京国税局の方からクラウドファンディングの仕組みや規約等の詳細について問い合わせがあり、検討をしていただきました。

その結果、令和6年7月1日に、東京国税局まで出向き、口頭で回答をいただきました。その結果について、ご報告いたします。

なお、事前照会は文書での回答を原則としていますが、事前照会の内容が、「実地確認や取引等関係者等への照会等による事実関係の認定を必要とするものでないこと」という要件を満たしていないため、文書回答の対象となる事前照会に当たらないという通知を受け、口頭での回答となりました。

事前照会の概要

@PROは、2024年2月から4月にかけて、全国の認定NPO法人約1,280法人を対象にしたアンケート調査を行い、その結果を、認定NPO法人白書という冊子にして、全国の認定NPO法人や認定NPO法人を目指す法人、認定NPO法人を支援する団体や専門家、行政庁に配布する予定です。

そして、そのアンケート調査及び冊子の作成にあたり、その資金を寄附型のクラウドファンディングで調達することとしました。

クラウドファンディングでは、寄附をいただいた方に、アンケートの調査の結果をまとめた冊子をお送りし、アンケート調査の結果について報告する報告会に無料で参加することができることとする予定です。

冊子は、販売することはせず、寄附をいただいた方以外にも、アンケートに回答をいただいた方や行政庁などに無償で配布する予定です。原価は1冊1,000円程度を想定しています。

また、アンケート調査の報告会は、市民ホールの会議室で実施する予定であり、参加費として1,000円程度を徴収する予定です。報告会で飲食等の提供はありません。

クラウドファンディングで資金提供をいただいた方には、以下のお礼をお送りしています。

5,000円 お礼:感謝のメール、冊子ダイジェスト版(PDF)

10,000円 お礼:冊子1冊謹呈、アンケート調査の報告会への無料参加

30,000円 お礼:冊子2冊謹呈、アンケート調査の報告会への無料参加

50,000円 お礼:冊子3冊謹呈、アンケート調査の報告会への無料参加
100,000円 お礼:冊子5冊謹呈、アンケート調査の報告会への無料参加

このクラウドファンディングで提供を受ける資金について、寄附金控除の対象となる特定寄附金として取り扱われるかどうかについて、照会をいたしました。

(@PROが行ったクラウドファンディングについては、こちらをクリックください)

今回の事案について、東京国税局の回答

寄附金控除の対象となる特定寄附金となる。

今回のクラウドファンディングの内容、クラウドファンディングの規約等を総合勘案し、クラウドファンディングの寄付とそれに対する返礼品、今回は冊子と報告会への招待には、明確な対価関係が見えないと判断した。

報告会は通常、1,000円の参加費を徴収するとしているが、金額が記載されたものはミスリードしてしまう可能性があるため、文書での回答はできず、口頭での回答となった。

 

<寄附金控除の対象になるかどうかの判断基準>

 具体的な判断基準を示すことはできない。総合勘案であり、クラウドファンディングごとの個別判断になってくる。

 お金を集める目的・趣旨は何か、それを相手に対してどのように説明をしているか、返礼品は義務であるか、寄附金額と返礼品の金額のバランスなど、総合勘案の要素にはなるが、事案により付け加えなければいけないこともあり、このような基準で判断するということを示すことはできない。

 

<寄附金受領証明書の日付について>

 寄附金受領証明書の日付について、国税側から何か指示をしたことはないと思う。寄附金として受領したことが確定した日以後であり、操作されたものや恣意性がなければ、法人の判断で差し支えないのではないか。

@PROからの補足説明

@PROが実施したクラウドファンディングは、寄附金控除の対象となるという東京国税局の回答を得ることができました。具体的にどのような点が判断に影響したのか、その基準を求めましたが、東京国税局からは総合勘案であり、判断基準を示すことはできないという回答でした。


@PROという団体の日頃の活動や、今回のクラウドファンディングを実施した背景、クラウドファンディングのWEBサイトでの呼びかけの方法、返礼品(冊子及び報告会への招待)の内容、支援者から受ける支援金に比べて返礼品の価値が低く、支援金が返礼品の対価とされるようなものではなかったことなどが勘案されたのではないかと思います。

また、審査の過程では、クラウドファンディングを行う際に、返礼品を送ることは義務であるか、返礼品を提供されないのであれば、寄付金を返金するように求められたら求めに応じる義務があるのか、ということついて、東京国税局から問い合わせがありました。クラウドファンディング会社の利用規約上は、実行者は、「①プロジェクトの実行、②資金使途、③ギフト(返礼品)の提供の複合的な義務を負う」とされていました。返礼品を送る場合でも寄附金控除になる前提として、寄付と返礼品は一体の行為ではなく、別途の行為(寄付に対する謝意を示す行為)だという前提があります。

クラウドファンディング会社の方から東京国税局の方にご説明いただき、現実的には、支援者としてもプロジェクトの実行こそを期待しており、返礼をしないことで返金にまで発展する事例もないという点も考慮されました。

 

また、@PROでは、寄附金受領証明書は、クラウドファンディングのプロジェクトが終了した令和6年4月5日の日付で発行する予定(実際に@PROに入金になったのは6月10日)であるが、問題ないか、ということについても聞いてみました。

東京国税局からは、「寄附金として受領したことが確定した日以後であり、操作されたものや恣意性がなければ、法人の判断で差し支えない」という回答を得ました。NPO法人に限らず、他の非営利法人でも、寄附金控除の受領証明書を法人への入金日で発行をしているケースが多いと思いますが、国税局から明確な形で、入金日である必要はない旨の回答を得ることができました。

 

なお、今回の事前照会は、寄附金控除の対象になる寄附金になるかどうかの問い合わせです。認定NPO法人としてパブリックサポートテストの計算をする際に寄附金としてカウントできるかどうかについては、内閣府から別に考え方が示されています。

こちらをご覧ください。

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