新型コロナウイルス対策下における監事の監査の留意点

2020.04.20

新型コロナウイルス対策下における監事の監査の留意点

新型コロナウイルス対策として、不要、不急の外出を自粛し、出勤者7割削減を実現することが求められています。

しかし、3月決算法人では、税務申告や総会、所轄庁等への事業報告書の提出のために、出勤を控えられないという状況にある方も多数います。

こうした状況においては、経理担当者が自宅でテレワークをしている場合の対応や、監事が法人の事務所に出向くことなく監査を行うことなどを検討する必要があります。

こうした場合に留意すべき点を、まとめました。

 

【総会の開催や税務申告を延期し、監事監査も延期する】

まず、税務申告や所轄庁への事業報告等の提出期限に間に合わせるために、無理をして総会の開催や、決算報告資料の作成業務を行う必要はありません。

申告や提出期限の延長が認められていますので、監事の監査も無理をして行わないようにしてください。

詳しくは、【新型コロナウイルス対策の情報提供】3月決算法人の団体へ を見てください。

 

【テレワークなどで決算業務や、監事監査を行う】

 総会の開催を延期しても、いずれ、決算や税務申告、監事監査を行わなければならず、新型コロナウイルスが終焉していない場合は、それらをテレワークなどで行う必要があります。その場合、以下の方法が考えられます。

1.総勘定元帳などをメール等で送ってもらう。

法人の事務所に行くことなく、財務諸表の案や試算表、元帳などを、PDFファイルのメール送信や、紙の郵送で監事に送ってもらい、それをチェックすることができます。同じ会計ソフトを使用している場合は、監事への会計データの送付によることもできます。

2.証憑類もPDFにしてメール等で送ってもらう

必要な証票類も、同様に、PDFファイルや原本の郵送によってチェックすることができます。この場合、すべての証票類の送付が必要か、一部または特定の証票類だけでよいかは、監事が試算表、元帳などの会計記録を踏まえて判断することになります。

3.預金等の実査はWEB会議用のソフトや残高証明書等で行う

預金通帳などの実査については、「NPO法人のための業務チェックリスト」24ページの チェックリスト(会計/全般)【解説】の13番に、下記のように記載されています。

ここでの「預金等は、通帳や証書の現物(コピーは不可)と必ず照合する」という手続きについては、ZOOMなどのWEB会議用のソフトウエアを利用してカメラを通して通帳などの現物を確認することもできます。

ただし、カメラと通帳などの間の距離によっては数字などを十分確認できない場合があるので、間違いなく確認できたと判断できない場合は、宅急便などで通帳などの現物を送ってもらって照合後に返送する方法や、通帳などの現物との照合に代えて、銀行が発行する残高証明書(有料)の原本の郵送の方法をとる必要があります。

なお、いずれにせよ、翌期の入出金の記帳がない場合は、預金通帳に記帳されている残高以後、期末までに出金がなされている可能性があることに留意が必要です。なお、ZOOMなどによるカメラを通した確認は、その他の証票類の確認にも使用することができます。

<業務チェックリストP24>

https://npoatpro.org/user/media/npoatpro/page/tool/NPOChecklist2018.pdf

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13   事業年度末日の現金や預金の残高に間違いはないか。

現金は、監事が自ら事業年度末日に実査(現金をカウント)できればいいが、実際には難しい。法人の出納担当者以外の者が、現金出納帳の残高と実査し記録を残しておく。預金等は、通帳や証書の現物(コピーは不可)と必ず照合する。

 

4.代表者等への質問はテレビ会議で

法人の代表者や理事、経理担当者からの説明の聴取や質問は、電話やZOOMなどを通したテレビ会議で行うことができます。

 

<セキュリティについて>

以上、法人の事務所以外で実施する方法について述べてきましたが、事務所内だけで実施する場合に比べて、個人情報を含めた大事な情報の流出などのリスクが大きくなることは間違いありません。次のような点について留意してください。

〇紙の資料を普通郵便で郵送することにより、誤配などによって資料が行方不明になってしまう。

〇電子メールで資料を送付する途中で内容を盗聴される。

〇ZOOMなどのWEB会議用のソフトを使用中に内容を盗聴される。

 

特に、ZOOMなどのWEB会議用のソフトウエアは、双方に、マイク、スピーカー、WEBカメラがあれば、実際に集まらなくても、お互いの顔や資料を見ながら会議や作業ができることから、新型コロナウイルスへの対応策として急速に使用され始めています。

参加者が2人以下の場合は、無料で時間制限なしで使用できる(ZOOMの場合)など、法人にとって使いやすい面がありますが、新しいツールだけにセキュリティに関する新しい問題もあるので、十分、留意して使用してください。

配布用資料 ➡ 新型コロナウイルス対策下での監事の監査での留意点

 

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